30周年記念式典 会場の様子

 2017年6月16日(金)に名古屋市中区金山町のANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋において、愛知県シートメタル工業会の30周年記念式典が開催されました。

 30周年を機に、会長が鈴木会長から鬼頭会長に交代され、名称も愛知県精密板金工業会を改め、愛知県シートメタル工業会といたしました。

 また、6社のお客さまが新しく入会され、会員数は96社となりました。

 記念講演ではJR東海の元社長(現 相談役)の須田 寛 様にご講演いただき、86歳とは思えない熱さとスピード感のあるご講演をいただきました。

 また、記念式典には愛知県知事の大村知事にも駆けつけていただき、ご祝辞を賜りました。

 30周年というお祝いの席には、愛知県知事の大村様をはじめ、愛知県産業労働部様、愛知県職業能力開発協会様、あいち産業科学技術総合 センター様、長野県、静岡県、石川・福井県、富山県の各工業会代表者さまにもご臨席を賜り、総勢105名が参加された盛大な記念式典となりました。

 当日は梅雨の中、30周年記念を祝福するかのような晴天が広がり、懇親会会場である28階からは名古屋の美しい町を一望することができました。


■愛知県シートメタル工業会 30周年記念式典

 
会長の挨拶 鬼頭新会長  
 
 
鬼頭新会長の挨拶

 先ほどの定期総会において、7つの議案を滞りなく承認いただきました。

 今回の大きな議案の1つに、名称を愛知県精密板金工業会から愛知県シートメタル工業会と変更いたしました。

 また、わたくしが新会長として任命され、就任いたしましたことを合わせてご報告させていただきます。

今後のわたくしの活動方針をお話させていただきます。

1)技術力の向上
  技能検定や基礎技術の進展

  愛知県は工業が盛んな県です。技能オリンピックにも力をいれています。
  技能検定の受験者数および合格者数を増やしていき、皆さまの技術の向上に
  役立てていただきたい。

2)精密板金業界の周知・認知度UP、展示会の活用

  まだ知名度が低く、新入社員の方も知らないことが多いです。
  精密板金業界を周知徹底していくことで、更に優秀な人材を確保していきたいです。
  求人倍率がバブル期と同等になってきているので、周知徹底することで、
  板金業界の人材育成にしっかりと対応していきたいと思います。

3)BCPの推進(100年企業への挑戦)
  後継者対策、自然災害対策

  南海トラフ地震など、災害が予想されている地域です。対応できる準備を
  していきたいと思います。BCPを進めていき、人材確保、後継者育成、
  コンプライアンス重視など会社の存続を危ぶまれてしまうことを避け、
  100年続く企業にしていきたいと思います。

 私の父が3代目の会長を務めており、任期半ばで亡くなってしまいました。葬儀の御礼で役員会に参加させていただきました時からお手伝いをさせていただくこととなりました。実を言うと明日が父の命日ですので、父から自分ができなかったことをしっかりやっていけと言われているような気がしています。皆さまのご指導ご鞭撻をいただきながら努めていきたいと思います。

   
来賓のご紹介  
   
  愛知県産業労働部  就業推進監 吉田 和裕 様  
愛知県産業労働部 労働局産業人材育成課 課長補佐 油井 敦 様  
あいち産業科学技術総合 センター  センター長 児島 雅博 様  
あいち産業科学技術総合 センター 主任研究員 清水 彰子 様  
長野県シートメタル工業会  会長 佐々木 正行 様  
静岡県シートメタル工業会  会長 久保田 和雄 様  
石川県・福井県シートメタル工業会  会長 生駒 寛 様  
富山県シートメタル工業会  会長 八田 正人 様  
株式会社アマダホールディングス 代表取締役会長兼CEO  岡本 満夫 様  
株式会社アマダ 代表取締役社長 柴田 耕太郎 様  
株式会社アマダ 取締役 川下 康宏 様  
   
30年のあゆみ 青年部会 吉田 匡輝 副会長
 
 
吉田 匡輝 副会長
発表の様子
↑ クリックすると資料がご覧いただけます

 30年前私は14歳でしたので、会報や資料を基に30年のあゆみを作成いたしました。

 愛知県精密板金工業会は昭和62年6月21日に78社様の賛同を得て発足いたしました。

 主旨は愛知県の精密板金加工業界の統一する組織を作り、経営情報、技術情報の共有、加工技術、経営の研究、技能教育などを積極的に推進して、新たな時代を進ふさわしい体制を作ろうということで立ち上がった会です。

 当時の工業会活動は、各4部会1委員会が設立され、積極的に研修を行い、勉強会や講演会などが行われていました。商いの心という講演会があり、「渋柿は渋がぬけて甘くなるのではなく、渋そのものが甘くなる。たちの悪い子供の悪い部分をなくすのではなく、たちの悪さそのものがその子の長所になる」という言葉を講演された方が涙ながらにお話されたと聞いています。当時の方々は本気で今後の日本を考えていたんだなと感じました。

 技能検定ではアマダスクールを最大限に活用し、試験用機械はアマダ様から無償で搬入し、調整搬出を行っていただだいたそうです。冶具などは会員企業様からお借りし、丹羽シートメタル様や中央工業様でお借りして試験を行ったと聞いています。会報は編集委員として三神鈑金工業所様にも参加していただいておりました。

 初代から8代目までの会長をご紹介します。30年に渡り、工業会活動に関与された方々が主旨を確実に実行され続け、苦労されたことだと思います。

 技術向上として力を注いできました技能検定は、30年間の受講者合計は378名となり、昨今10年は合格者が10名以上推移しており、積極的に受験して頂いております。今後も技術習得のため積極的な参加をお願いしたいと思います。

 講演会・セミナーは事業計画に沿ったテーマで講演会を行っていただいております。

 研修旅行は昨今グローバル化に追従しつつ、タイやベトナムで研修を行い、海外の変革を肌で感じていただいております。

 平成22年若手経営後継者育成のため青年部会「葵」を発足しました。毎月積極的に活動をおこなっております。愛知県の徳川家の葵の紋と若いのでお尻が青いという意味からつけた名前です。

 14社の会員から発足し、現在は19社となりました。毎月情報共有できるいい場だと感じております。

 これまで活動していただいている会員の方、委員の方、奥様、工業会会員の方々、アマダ様、愛知県各部署の方々の30年の活動が厚生労働大臣賞と各賞を受賞できたのではないかと考えます。今後もこの想いを忘れず、この先40年、50年と続けられるよう各世代が過去から受け継ぐものを確認しあえればと思います。

 
感謝状授与、ご挨拶 (株)アマダホールディングス 代表取締役会長兼CEO 岡本 満夫 様
     
  感謝状 鈴木 前会長  
  30周年感謝状 鬼頭 新会長  
     
 
感謝状授与
(株)アマダホールディングス 代表取締役会長兼CEO 岡本 満夫 様

 愛知県シートメタル工業会では人材育成に非常に力を入れていただいています。モノづくりは人づくりとモノづくりの両面があり、人づくりの面では技能検定で素晴らしい成果をあげていただいております。モノづくりの面は技術、技能と最新設備をもって作るのではないかと思います。その点では、アマダも陰ながらバックアップさせていただいていると考えています。

 今回の総会をもって、鈴木会長から鬼頭会長へ新役員様も若返りを図られて、これからの新体制の中で40年50年と新しい歴史を刻んでいただきたいです。

 愛知県精密板金として1987年に設立され、9番目に設立した会です。当時日本が外圧を受けており輸出に非常に憂いた年でした。欧米中心のプラザ合意の中、極端な為替操作があり、為替レートは1年間で160円から120円と40円の大きな変動がありました。輸出できるような環境ではなくなり、海外進出を考える動きが出始めました。アマダも1980年ロサンゼルスに工場進出を図りました際にわたくしが立ち上げ計画に携わり、赴任して文化の違いに苦労したことを思い出します。変動の30年は成長の一歩だったと今は思います。

 工業会のモノづくり人づくりの技術・技能を向上という取り組みは、今後会員企業さまの生き残りの礎になると思います。昨今労働環境が非常に厳しい中、アマダは世界的な基準の中で働く環境を作る、お客さまの稼働を守っていくということを考えております。

 益々のご発展と会員企業さまのご繁栄を祈念しましてお祝いの言葉とさせていただきます。

 
   
30年の永年会員表彰 33社さま  
  代表  
  永年会員表彰 株式会社三神鈑金工業所 三神 毅 様  
  永年会員表彰 株式会社丹羽シートメタル 丹羽 英晶 様  

 


■記念講演

 

『リニア開業と愛知の町づくり 』〜ものづくりを中心として〜
 東海旅客鉄道株式会社 相談役 須田 ェ 様

 
須田 ェ 様 プロフィール
東海旅客鉄道株式会社 相談役 須田 ェ 様

1931年東京都生まれ。54年に京都大学法学部卒業、日本国有鉄道入社。名古屋鉄道管理局長。旅客局長、国鉄理事などを経て、87年4月 JR東海社長。95年、会長に就任した。
シルバーシートの生みの親、そして青春18きっぷの名づけ親で、国鉄のホームライナーを設定された。

JR東海の社長就任後は中日ドラゴンズに落合博満が入団したことでナゴヤ球場の観客が増加。これを受け、JR貨物名古屋港線の第二種鉄道事業免許を取得。ナゴヤ球場正門前駅を設置して観客輸送の臨時列車を走らせた。須田様ご本人も正門前駅開業初日には一晩中乗客への対応に当たった。

1995年に社長を退任して会長に就任。産業観光の概念を紹介するなど精力的に活動している。

 
 1.今後の名古屋市大都市圏の発展方向
   
 

大都市圏の方向に大きく関わるのが観光の活用

産業、商業、文化の3本柱がバランスよく発展することが観光大都市圏の発展に寄与する。名古屋は産業、商業はすでに盛ん。文化としては、徳川幕府の元、庶民文化として大成した。

近年は国際化が進んで、観光客や外資系の会社が名古屋にも増えてきた。国際化の対応にも取り組んでいかなければならない。更に情報化社会、国際化、情報化の波に遅れを取ると観光の発展に対応できなくなってしまう。

観光とは

2000年ほど前に中国で発展した言葉。地域で優れているものを心を込めてみてもらうこと。

   
 2.観光の施策展開
   
 

名古屋はリニアが停まるということで、新しい街づくりを盛んに言われている。

リニアは東京と名古屋を40分で結ぶ。街づくりは観光というものを大きく取り込んだ街づくりをしなければならない。

観光行動が交流人口を増加させ、産業の発展につながる。そして地域社会の発展や地域経済の振興につながる。観光が新しい街づくり、モノづくりにつながっていく。経済効果、交流人口を増やすために街づくりを通じて効果を循環させていく。

   
◆3つの柱について
   
 
1. 産業中枢都市のなかで(観光産業のウエイトの増大、ハード・ソフト)
2. 商業中枢都市のなかで(観光の商業面−経済面からくる商業上の効果。即ち観光の経済効果の取り込みを図る)
3. 文化中枢都市のなかで(観光の持つ文化的側面の役割増加。観光による地域文化の振興を進める)
   
◆課題
   
  観光の大きい役割を考えるには、観光の数値的把握、その動向分析・予測等が不可欠。しかし、観光産業は独自の産業統計を持たず、その動向が把握しにくい。特にまちづくりをリードする観光とするためにはこのことが鍵を握る。(まちづくりは観光の実態把握から)
   
◆リニアによるまちづくりへの提言(名古屋の例)
   
 
リニアは新しい名古屋都市圏再構築の動機
リニアはビジネスユースの視点では、東京・名古屋間が40分圏内となり、名古屋圏は東京の郊外と同条件になる。
  ビジネス交通のみのスピードアップ、ほかは現状と大差ないという条件の基にどのような街づくりを行うか考える必要がある。
日常生活(通勤範囲)では現在と大きい較差は考えにくい。
  定通勤通学で使われるようなものではなく、通勤通学で利用する定期などはないと考える。
  定員厳守のため、輸送容量も変わらない 定員越えると浮かないため。
物流は現状と全く同じ
   
 

名古屋と東京が同じになってしまってはいけない、両都市がどう成長していくかを考えていただきたい。

リニアは街づくりの大きな動機になるはず。観光という要素が重要。

産業界をリードしている方々が先頭に立って名古屋の街づくりについて進めていただきたい。

最適な街づくりをすることによって、日本の経済・発展につながることを願っている。

 

■愛知県知事 大村 秀章 様

 
愛知県知事 大村 秀章 様
会場の様子

 愛知県精密板金工業会は62年の設立以来、技能検定や講習会など人材育成などに取り組んで来られました。高い加工精度が求められる加工技術は愛知県のモノづくり産業に欠くことのできないものであり、工業会の皆様のご尽力に深く敬意と感謝を申し上げます。

 愛知県は今後も日本一を誇るモノづくり国であるため、人材育成、人材確保が重要と考えておりますので、皆さまと愛知の産業をしっかり盛り上げ、次世代のモノづくりになる産業人材をしっかり進めていきたいと思います。

 2014年に技能五輪全国大会を開催しました。5、6年に1回は愛知で開催しようということで、2019年、20年と2年連続愛知で開催することに決めました。2023年には技能五輪世界大会を愛知で開催すということで進めており、取り組んで参ります。

 自動車では知多高速で始めた自動走行を今度は県道で行い、運転席にドライバーが乗らずに遠隔操作で走行実験を春日井市の高蔵寺ニュータウンにある県庁街と幸田町でチャレンジしていきます。

 飛行機ではMRJは若干苦労しておりますが、パリエアショーでMRJを見せていきます。

 ロボット産業も日本一で、7月末にはロボカップ名古屋大会を開催し、同時に世界青少年発明工夫展を開催いたします。今年は8月1日の「愛知発明の日」制定の機となった豊田佐吉翁生誕150年ということもあり、7月28日には92歳の豊田名誉会長にご講演をお願いをしております。更にモノづくりを盛り上げていければと思います。

 鬼頭新会長をはじめ、工業会会員企業の皆さまには技術交流、研究、技能教育などに一層進められ、愛知の産業発展に引き続きお力添えを賜りますようお願いいたします。

 

■祝賀会の様子

 
会長の挨拶

会長挨拶 鬼頭新会長

 先ほどの須田様のお話を伺って、製造業とサービス業は密接したものなのだとつくづく感じました。インフラを整えれば、ホームドアや調理器具が必要になってきます。そうなると精密板金の仕事も増えてきます。 しっかりした街づくりを進めれば、必ず仕事につながってくると感じました。愛知県は製造業が盛んな県でありつつ、文化的な街づくりもできるのではないかと感じています。

 我々も発展していくために交流していきたいと思いますので、ご尽力をお願いいたします。

 
静岡県シートメタル工業会
会長 久保田 和雄 様

来賓祝辞
 静岡県シートメタル工業会
  会長 久保田 和雄 様

 30周年記念式典が盛大に開催されたことおめでとうございます。会長が交代され、鬼頭新会長、よろしくお願いいたします。鈴木前会長、お疲れ様でした。

 愛知県シートメタル工業会の歴史を伺ったところ、会員数78社から始められ、96社の会員様で運営されており、うらやましく思っております。愛知県の産業発展の進歩には勢いを感じます。愛知県は自動車、鉄鋼、繊維、陶磁器、石油化学などの産業が集約されており、38年連続で製品出荷額全国1位を保っていらっしゃると聞きました。

 板金加工業はモノづくりのなかで最も重要な産業だと思っています。レーザの進化、制御技術の位置決め精度の向上が出るようになりました。この板金機械の技術の進歩は工業会の皆さまの強い開発意欲があったからだと思います。また、その要望に真摯に向き合ってくださったアマダ様には感謝しております。アマダ様にはいい機械を安くご提供いただき、稼ぐ力を我々に与えていただければと思います。

 30年に渡り、会員相互の親睦、技能検定教育など熱心に取り組まれ、業界の発展に尽くされたことに敬意を表したいと思います。

 工業会にとって通過点として、40年、50年に向けて更なる発展を祈願させていただきます。

 
(株)アマダ 代表取締役社長 柴田 耕太郎 様
乾杯の様子

乾杯
(株)アマダ
 代表取締役社長 柴田 耕太郎 様

30年の継続はこちらにいらっしゃる皆さま、諸先輩方の努力の賜物と考えております。今後も100年は続いていけると感じております。

 わたくしはアマダに37年前に入社し、その後豊田営業所に配属されました。その時のお客さまもいらっしゃると思いますが、大変お世話になりまして、そのお客さまが大きく発展していらっしゃるのは私の喜びでもあります。

 製造製品出荷額日本の30%が愛知県で37年連続で1位。まさにモノづくり大国です。企業がどこに新工場を作りたいかという統計では1位が海外、2位が愛知県でした。更に産業が盛り上がり、100年継続に向けて続いていくことを確信しております。アマダも100年企業に向けて、IoTをはじめ加工技術など努力を進めて参りますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 

余興披露 今岡友美&Dear Blues

 小さな体からは想像もつかない声量で会場の皆さんの耳を魅了していただきました。曲紹介などでは高めの声の方だと思いましたが、歌うと渋みの効いたアルトボイスは、ピアノやウッドベースにもマッチした歌声で楽しませていただきました。スタンダードな曲も多く、手拍子していらっしゃる方も多く見られました。

 尺八とのセッションが始まると、新副会長に就任された柴田様が尺八を奏でられ、そのプロ並みの音色に驚き、更に会場の熱が上がりました。

 
 
今岡友美&Dear Blues   柴田副会長の演奏
 
中締め 柴田副会長   28階会場からの眺め
 
祝賀会の様子   祝賀会の様子
 
 

 最後に中締めとして、先ほど素晴らしい尺八を披露していただいた柴田新副会長より、ご挨拶いただきました。

中締め 柴田新副会長

 名古屋、愛知県は素晴らしいというお話をいただきましたが、2050年、60年になると労働人口は半分になると言われています。中小企業は半分になることを覚悟していかなければならない中で、どのように企業として存続するかという危機感をひしひしと感じております。鬼頭新会長の元、事業継承、事業継続を真剣に考える年だと考えています。ぜひ会員の皆様に支えていただきながら頑張りたいと思います。

 ご挨拶の後、一本締めで記念式典を締めくくりました。たくさんのお客さまが交流を図られ、お酒を交わされて、大変豪華で盛り上がった30周年記念式典となりました。

 
ご臨席いただきました方々、ご協力を賜りました方々にこの場をお借りして御礼申し上げます。
 

ページのトップへ戻る
愛知県シートメタル工業会ページへ戻る